高齢者の耳の感染症

高齢者の耳の感染症

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高齢者がかかりやすい細菌・ウイルス感染による耳の病気には、滲出性中耳炎(しんしゅつせい-)と慢性中耳炎があります。

■滲出性中耳炎 【自覚症状】難聴。

鼓膜の内側の中耳に主に細菌が感染することによって炎症が起き、中耳内ににじみ出た体液が溜まる病気です。中耳と鼻腔は空気が流れることのできる耳管という細い管でつながっており、肺炎球菌・インフルエンザ菌(ウイルスではありません)などが鼻腔から耳管を経由して中耳に感染し発症します。
耳管には、つばを飲みこむときに開くという特性があり、それによって中耳内の空気圧を外気圧と同じに調整する機能を担っています。空気だけでなく、中耳内ににじみ出た体液も、通常はつばを飲みこむときに耳管から鼻腔内へと排出することができます。しかし、高齢者の場合にはこの耳管の開閉機能が衰えるために滲出液が溜まりやすくなると考えられます。また、耳管にまで炎症が拡大することや鼻腔に腫瘍があることによっても、耳管が閉塞する場合があります。その結果、滲出液が中耳内に溜まると、それに含まれる酸素等が周辺組織を流れる血液に吸収されることにより、中耳内の圧力が低下して鼓膜が内側に引き寄せられる形となり、難聴が発生します。
滲出性中耳炎は、急性中耳炎のような痛みや発熱がなく、難聴がほとんど唯一の自覚症状です。しかし、難聴などの聴覚障害に悩まされ続けることになりますので、異常に気づいたときは早めに耳鼻咽喉科の診察を受けましょう。

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■慢性中耳炎 【自覚症状】耳漏(耳垂れ)、難聴。

滲出性中耳炎を放置しておいたり、急性中耳炎の治療が長引いたりしたときに、中耳内の炎症が慢性化する病気です。また、鼻炎・扁桃腺炎などを繰り返すことによっても誘発される場合があります。
中耳炎がいったん治りかけても、また感染して発症するということを繰り返し、鼓膜に穴が開いた状態(鼓膜穿孔)になります。急性中耳炎のような痛みや発熱はありませんが、進行すると音を伝達する鼓膜の癒着や耳小骨の変形が起き、難聴が悪化して回復不可能になる場合もあります。抗生物質による抗菌治療を行った上で、鼓膜の再生手術が必要です。鼓膜穿孔が小さく軽度の場合には手術も比較的に簡単ですので、異常に気づいたときは早めに耳鼻咽喉科の診察を受けましょう。

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