高齢者の動悸から考えられる病気

高齢者の動悸から考えられる病気

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■狭心症 【自覚症状】締め付けられるような胸の痛み(狭心痛)。動悸、呼吸困難、頭痛、嘔吐なども。

狭心痛の発症は突発的に起き、しかも繰り返すことから、喘息と同様に発作と呼ばれます。心臓の筋肉に血液を供給している冠動脈や心臓の血管が動脈硬化や痙攣性の収縮を起こすことにより、心臓の筋肉が一時的に虚血状態となって発作が起きます。ただし、狭心症の発作は、通常、15分以内には治まります。しかし、発作を繰り返して放置した場合は、より重篤な心筋梗塞や心室細動などを発症して死に至る危険性があるため、放置せずに循環器科などで診察を受けるべきです。
動脈硬化は高血圧・高脂血症・肥満などによって進行しやすく、血管の痙攣性収縮は精神的ストレスや喫煙によって起きやすいとされています。狭心症を予防するためには、これらの原因を取り除く日頃の心掛けや努力が大切です。
万一狭心症を発症した場合、発作が5分以内に治まる程度であれば、救急車を呼ぶ必要はありません。翌日以降でも良いですから、できるだけ早く専門医の診察を受けましょう。また、発作が5分以上続いた場合や1日の間に繰り返して発症した場合は、直ちに救急車を要請してください。

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■拡張型心筋症 【自覚症状】初期症状として、疲れやすい、倦怠感、運動時の軽い動悸・息切れ。進行すると、不整脈や足のむくみ、痰を伴う湿った咳、首の血管の怒張なども。

拡張型心筋症は、心臓から血液を送り出す心室(左心室、右心室)の筋肉が薄くなり拡張する病気です。心室の容積が大きくなる反面、心筋の壁は薄くなり、血液を送り出す力が弱くなります。特に、大動脈に血液を送り出す左心室の送出量が減少することにより、うっ血性心不全の症状や不整脈を発症し、上記のような自覚症状が現れます。
拡張型心筋症の原因は、依然として十分に判明していません。有効な治療法も確立しているとは言えません。そのため、厚生労働省指定の特定疾患(難病)とされています。治療では、対症療法として主に投薬療法が行われますが、現在の5年生存率(患者が診断確定から5年後に生存している割合)は76パーセントです。唯一完治させることのできる治療法は心臓移植であり、海外ではすでに技術が確立していますが、国内ではまだ実施例がありません。一方、国内では埋め込み型の補助人工心臓の開発が進んでおり、埋め込み手術が心臓移植手術よりも患者に身体的負担をかけないものであるため、高齢者にも適した治療法として期待されます。

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