高齢者の腹部膨満感(お腹の張り)から考えられる病気




高齢者の腹部膨満感(お腹の張り)から考えられる病気


■ 肝硬変   【自覚症状】 軽症のときは、食欲不振、疲れやすい、全身倦怠感、脱力感、濃い茶色の尿、腹部膨満感、腹痛、吐き気、嘔吐、体重減少など。重症化すると、黄疸(最初に眼の黄変、次いで皮膚も黄褐色に)、クモ状血管腫(皮膚の赤い小発疹から血管が放射状に広がるのが透けて見える)、脚の浮腫(むくみ)、腹水による腹部の膨張と体重増加、意識障害(肝性脳症)など。

肝硬変は、脂肪肝に始まり、慢性肝炎を経て肝細胞の死滅に至る肝機能障害の末期症状です。アルコールやその他の原因で発症した慢性肝炎によって肝細胞が障害を受け、壊死と再生をくり返すうちに、肝臓の組織と血管が破壊されて異なる繊維組織に置き換わることで肝硬変を発症します。全身倦怠感や黄疸は肝炎の典型的な症状ですが、肝硬変を発症した後は、肝硬変を起こしていない組織にも病変が拡大し、慢性肝炎と同時進行する形で肝臓全体に広がっていきます。なお、高齢者における症状の特徴として、軽症のときの自覚症状が現れない場合もあります。そのときは気づかない内に病状が進行しますので、飲酒量の多い人などは肝機能検査を毎年受けておくと安心です。

慢性肝炎を起こした肝臓の組織は治療によって回復可能ですが、肝硬変を起こした組織を回復させることはできません。肝硬変を放置しておくと手遅れになるだけでなく、肝癌肝細胞癌)を併発する危険性もあります。肝硬変が疑われるときは、速やかに内科消化器内科などを受診してください。

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(C) 2017 よくある高齢者の病気(症状別)