高齢者の腹部膨満感(お腹の張り)から考えられる病気 -2




■ 大腸癌   【自覚症状】 早期癌のときは、特になし。進行すると、便通異常(便秘・下痢)、腹部膨満感、腹痛、血便、貧血、全身倦怠感、体重減少など。

大腸癌は、大腸粘膜に発生する癌です。発生した大腸の区分によって、盲腸癌上行結腸癌(右腹部)、横行結腸癌下行結腸癌(左腹部)、S字結腸癌直腸癌の6種類に分類されます。いずれの場合も、早期の段階では自覚症状がまったくありません。

盲腸癌上行結腸癌横行結腸癌では腸管の内径が大きい上に便が液状であるため、便通異常や腹部膨満感が起こりにくく、排便のときに血便を自己判断することも困難です。相当に進行して出血性の貧血や全身倦怠感を感じることで初めて異常に気がつきます。下行結腸癌S字結腸癌では、癌の幅が腸管の内径の過半を占めるほどに進行すると便秘や下痢を起こしやすくなり、貯留した便やガスによって腹部膨満感や腹痛を感じるようになります。結腸癌では、同様に腹部膨満感や腹痛を感じますが、便に鮮血が付着した明らかな血便を見ることにより異常に気がつきます。

このように、大腸癌は相当に進行しなければ自覚症状が現れてきません。しかし、癌が大腸内壁の粘膜部分(粘膜層と粘膜下層)の中にとどまっている早期癌で発見できれば、高齢者にも負担の少ない内視鏡手術で確実に完治させることができます。大腸癌検診を毎年受診していれば、早期発見につながるので安心です。なお、上記の自覚症状で大腸癌が疑われるときは、癌の専門診療科か消化器外科消化器内科内科を受診してください。

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(C) 2017 よくある高齢者の病気(症状別)