高齢者の胃もたれ(胃がもたれる)から考えられる病気




高齢者の胃もたれ(胃がもたれる)から考えられる病気


胃がもたれるとは、みぞおち辺りが張った不快な膨満感のことです。古来、食物が胃の中に溜まって気持ち悪く感じることを指して用いられてきた言葉です。胃もたれは、高齢者の場合でも、少し時間がたつと自然に解消するような一時的なものであれば問題ありません。しかし、胃もたれが何日も続いたり、腹痛、嘔吐、食欲不振、体重減少などをともなう場合には、以下のような病気の症状である可能性があります。


■ 慢性胃炎 (萎縮性胃炎)   【自覚症状】 胃もたれ、食欲不振など。吐き気、胃痛をともなうことも。

細菌ヘリコバクター・ピロリ(通称・ピロリ菌)の感染によって胃粘膜に慢性的な炎症が発生する病気です。胃粘膜の表面は粘膜内の胃腺から分泌される厚さ約1mmの粘液層に被われ、それがバリアーとなって胃酸やタンパク質分解酵素を含む胃液から胃粘膜が守られています。一般の細菌が殺菌力のある胃酸環境の中で生息することは困難ですが、ピロリ菌には粘液層に浸透している胃酸を中和する能力があり、粘液層の中に感染して増殖することができます。増殖したピロリ菌は毒素とさまざまな分解酵素を産生し、それによって粘液層が破壊されると、その部分の胃粘膜は胃液にさらされて傷害を受け、炎症を起こすことになります。

慢性胃炎では、このようにして発生した胃粘膜の炎症が常態化し、患部の粘膜が変質して萎縮していきます。通常は胃の下部で十二指腸につながる幽門の手前部分(幽門前庭部)から発症し、徐々に胃全体へと拡大していきます。放置しておくと胃の運動や胃液の分泌量が低下するだけでなく、より悪性の胃潰瘍胃癌を発症する危険性が高まりますので、内科または消化器内科を受診してください。

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(C) 2017 よくある高齢者の病気(症状別)