高齢者の吐血から考えられる病気
吐血(とけつ)は、嘔吐したときに嘔吐物の中に血液が混ざっている状態のことであり、消化器系疾患による出血が原因で起こります。同様に口から血液を吐き出す喀血(かっけつ)という症状がありますが、喀血は咳き込んだときに血液を吐き出すことであり、呼吸器系疾患による出血が原因です。ここでは、高齢者に見られる吐血の代表的な原因疾患を紹介します。
■ 胃癌 【自覚症状】食欲不振、体重減少、みぞおちの痛み(胃痛)。さらに進行すると、吐き気、吐血、黒色便、貧血、腹部膨満感など。
胃癌は、他の癌と同様、早期には自覚症状がありません。進行してから以上のような症状が現れます。吐血、黒色便、貧血などは、患部に潰瘍(組織が壊死して欠損した状態)ができて出血することにより引き起こされます。ただし、癌が胃壁の粘膜や粘膜下層にとどまって筋層にまで達していない段階で、リンパ節への転移も認められない場合には、胃内視鏡による患部の切除手術だけで治癒させることも可能です。胃癌は、早期に発見されれば、体への負担が少ない治療で治癒させることができます。嘔吐して吐血が見られたときは、すぐに内科、胃腸科、消化器科などを受診してください。
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