高齢者の発熱から考えられる病気
病気による発熱のほとんどは、病原性の細菌・ウイルスや腫瘍を白血球が攻撃する結果として、脳(視床下部)の体温調節中枢の反応により体温が上昇する現象です。多くの細菌・ウイルスには増殖に適した温度があり、体温を上げることで増殖を抑制できる可能性があります。また、体温上昇によって人の免疫機能は活性化されます。このような効果がある発熱の症状は、多くの感染症において起こります。ここでは、発熱を伴う病気の中で高齢者によく見られるものや高齢者に特徴的なものを紹介しましょう。
■肺結核 【自覚症状】初期症状として微熱(37℃台前半以下)が長期間続き、倦怠感、食欲不振、体重減少、寝汗も。やがて咳、痰なども。
結核菌が空気感染によって肺に炎症を起こす呼吸器疾患です。実際に発症するのは感染者のごく一部ですが、現在、国内の年間患者数の約50パーセントが70歳以上の高齢者で占められています。
肺結核は、半年から9ヶ月程度の投薬療法でほぼ確実に治癒します。ただし、咳をしたときの飛沫などから空気感染する病気であるため、喀痰(かくたん)検査で痰の中に結核菌が検出される患者は、法律によって結核病棟での入院が義務付けられています。
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