高齢者の体重減少と倦怠感から考えられる病気
■甲状腺機能亢進症
【高齢者の自覚症状】 体重減少、倦怠感、眠気、無気力、めまい・動悸(ドキドキする)、胸の痛み・圧迫感、便秘など。また、多汗・心拍数の増加・手の振るえなどが見られる場合や、意識の混乱・無口・うつ状態が見られる場合も。
甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンを分泌する機能が異常に活発化し、のどにある甲状腺の肥大も見られる自己免疫疾患です。その原因疾患としては、バセドウ病や甲状腺に多数の結節(しこり)ができる中毒性甲状腺結節などが有力です。しかし、バセドウ病などは同様の自己免疫疾患であり、症状が非常によく似ていますが、もっとも特徴的な眼球突出はバセドウ病特有の症状であり、甲状腺機能亢進症ではほとんど見られません。
高齢者の甲状腺機能亢進症は、壮年期までのそれとは症状の現れ方が大きく異なります。一般に甲状腺機能亢進症では全身の細胞の新陳代謝が活発になるため、心拍数の増加とわずかな動作・運動でも汗をかきやすい多汗がもっとも顕著な自覚症状です。また、それによる体重減少や疲れやすさも目立ちます。しかし、高齢者では、体重減少や慢性的な倦怠感・眠気などの症状は見られても、もっとも代表的な多汗・心拍数の増加が見られない場合が少なくありません。その他の症状でも、高齢者では心機能の低下や心臓疾患が増加するため、それに関係する自覚症状が目立ちます。上記のめまい・動悸は、不整脈の一種である心房細動の症状です。胸の痛み・圧迫感も、狭心症の症状です。
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