高齢者の嚥下(えんげ)障害の原因と対処法
口に入れた食べ物や飲み物を飲み込もうとしたとき、気管への異物の進入を防ぐためにその入り口にある喉頭蓋が自然と閉じる現象を「嚥下反応」といいます。高齢者には、この嚥下反応がスムーズに起きない「嚥下障害」の人が珍しくありません。食べ物や飲み物を誤って気管に入れてしまう「誤嚥」(ごえん)を引き起こし、激しくむ咳き込むことになります。
誤嚥は窒息死を招くこともあり、大変に危険です。また、高齢者では、気道を守るため気管に入った異物を咳によって吐き出そうとする「気道反射」が加齢により低下し、誤嚥が起きても咳き込まないことがあります。そのような場合は、気管支にとどまった飲食物によって細菌感染が起き、肺炎を発症することもあります。
高齢者で何度か誤嚥を経験し、むせ返ってつらい思いをした人の中には、誤嚥への警戒心から飲食への欲求を我慢し、水分摂取量の減少する人や摂食障害に陥る人もいます。嚥下障害は、さまざまな意味で高齢者にとって危険な障害です。
高齢者における嚥下障害の発生原因
高齢者の嚥下障害は、以下のような原因から発生します。
† 筋肉・神経の加齢による機能低下
のど周辺の筋肉や脳の延髄にある嚥下中枢が年齢とともに衰え、嚥下障害が起きやすくなります。
† 脳梗塞・脳出血などの脳血管障害
脳梗塞・脳出血は高い確率で嚥下障害をもたらします。
† のどの腫瘍
咽頭がん・食道がんなどでも嚥下障害は発生します。
続きを読む