高齢者の脱水の原因と対策




高齢者の脱水の原因と対策

脱水症状は、一般に、発熱・高温環境・激しい運動などによる発汗量や呼吸数の増加(呼気の中にも体内の水分が含まれます)のほか、下痢・嘔吐などによって引き起こされます。しかし、高齢者の場合は、高齢者特有の事情によって平常時・安静時にも脱水状態に陥りやすい傾向があります。

高齢者特有の脱水原因

† 体内の備蓄水分量の減少
人間の体は、生命活動を維持するために、安静時にも全身の組織の新陳代謝を行っており、その際に古い細胞から解放された細胞液がそのまま体内に備蓄されます。高齢者では、その代謝活動の量(基礎代謝量)が減少するため、備蓄水分量も加齢とともに減少します。

† 水分補給量の減少
脳の視床下部にある口渇(こうかつ)中枢は、水分欲求をコントロールする中枢です。高齢者では一般に口渇中枢の機能が低下することにより、のどの渇きを感じにくくなって水分摂取量が減少します。また、頻尿や失禁への恐れから水分補給を敬遠する人もいます。

† 嚥下(えんげ)障害
口に入れた食物や飲み物を飲み込もうとしたとき、気管への異物の進入を防ぐためにその入り口にある喉頭蓋が自然と閉じる現象を嚥下反応といいます。高齢者には、この嚥下反応がスムーズに起きない嚥下障害の人が珍しくありません。何度か誤嚥(ごえん)を経験し、むせ返ってつらい思いをした人の中には、誤嚥への警戒心から飲食への欲求を我慢し、水分摂取量の減少する人がいます。

続きを読む

(C) 2017 よくある高齢者の病気(症状別)