高齢者のめまいと手足のしびれ、舌のもつれなどから考えられる病気 -2




■ 小脳出血   【自覚症状】 突然のめまい、頭痛、吐き気・嘔吐、舌のもつれ、歩行困難など。

小脳出血は、脳内出血(通称・脳出血脳溢血)の一種です。小脳は、後頭部の大脳の下、大脳と脊髄をつなぐ脳幹の後ろに位置し、大脳・脳幹とともに脳を構成しています。その主な機能は、視覚、平衡感覚、皮膚・筋肉・腱・関節などの体性感覚に基づいて体の平衡維持や筋肉の緊張、随意筋の運動などをつかさどります。また、動作時の手足の動きや発声、飲食の時の口・舌・のどの動きなど、日常的に行っているあらゆる動作を無意識かつスムーズに行えるよう、関係する筋肉の動きを自動的にコントロールしています。そのため、小脳出血が起こると、それらの機能が働かなくなり、回転性のめまい(ぐるぐると目が回る感覚)とそれによる吐き気を感じたり、まっすぐに歩けないなどの各種運動障害が現れます。

小脳出血の原因は、全年齢で見ると高血圧が約70パーセントを占めています。高齢者における典型的な発症のメカニズムは、まず動脈硬化と高血圧の進行によって脳内の細い血管に壊死が発生。壊死した血管に血液が溜まって小さくこぶ状に膨らむ小動脈瘤となり、それがやがて破裂して小脳出血となります。小脳出血の発症部位には血腫(こぶ状の血液だまり)ができますが、血腫がある程度小さく、出血が進行しない場合には、手術を行わずに投薬療法で治療できます。しかし、血腫の増大が進行する場合には、頭蓋内圧の上昇だけでなく、血腫によって脳幹の呼吸中枢が圧迫されることで呼吸が停止する危険性もあるため、手術が必要になることもあります。小脳出血が疑われるときは、直ちに脳神経外科脳神経内科などの専門診療科がある病院を受診してください。

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(C) 2017 よくある高齢者の病気(症状別)