加齢性白内障の発生の仕方と症状の現れ方
水晶体は、中心のレンズ状をした核とその周囲を包む皮質で構成され、どちらも水溶性蛋白質と水分からなり、弾力性のある蛋白質の膜(水晶体嚢)に包まれています。加齢性白内障では、皮質の外周部(レンズ状の外側部分)から混濁が始まる場合が多く、進行して混濁が中心部に達するまで自覚症状はありません。混濁が中心部に及ぶと、眩しさ、目のかすみ、視力低下などが起こります。
一方、混濁が核から始まった場合は同時に核の硬化が起きるため、一時的に老眼が軽快し、近くが見えやすくなります。しかし、進行して核の混濁が進むと、眩しさ、目のかすみ、視力低下などが起きてきます。
重度の加齢性白内障も手術で正常な生活に復帰
加齢性白内障を放置しておくと、けっして自然治癒することはなく、最終的に失明します。白内障が疑われるときは、かならず眼科を受診してください。
治療は、症状が日常生活に支障のない程度であれば、点眼薬や内服薬で行われます。しかし、薬で治癒させることはできず、進行を抑えるだけです。進行して日常生活に支障がある場合には、手術を行います。手術は、回復不可能な水晶体を取り除いて、代わりに人工の眼内レンズを眼球内に装着しますが、短時間で終了して日帰り手術も可能です。眼内レンズは終生交換の必要がありません。ただし、ピント調節の機能がないため、術後に眼鏡を新調します。