■無抑制性神経因性膀胱 【自覚症状】 切迫した尿意から起こる失禁。
大脳に脳血管障害などがある場合に発症します。膀胱の尿量が限界に達したとき、脊髄の仙髄排尿中枢が膀胱や尿道括約筋に対して反射的に排尿を促し、切迫した尿意を感じますが、大脳の排尿中枢がそれを抑制する指令を出すことができず、我慢しきれずに失禁します。脳血管障害の患者が多い70歳以上の高齢者でよく見られる尿失禁です。高齢者の膀胱炎でも切迫性尿失禁が見られる場合がありますが、この尿失禁も無抑制性神経因性膀胱の症状である可能性があります。
■自律性または知覚麻痺性神経因性膀胱 【自覚症状】 少量ずつ持続的に漏れる失禁。
脊髄に障害がある場合に発症します。膀胱からの知覚情報が脳に伝わらず、大脳の排尿中枢の指令も膀胱まで伝わらない場合を自律性神経因性膀胱といい、膀胱からの知覚情報の伝達経路だけが不通であるために、大脳の排尿中枢が排尿抑制の指令を出せない場合を知覚麻痺性神経因性膀胱と呼びます。いずれの場合も、膀胱の尿量が限界に達しても尿意を感じることがなく、膀胱内圧の上昇によって気づかないうちに少しずつ流れ出してきます。高齢者の男性に多く見られる尿失禁です。