高齢男性の頻尿と排尿困難 前立腺肥大症 -2




■前立腺肥大症 【自覚症状】 初期症状は、尿道奥の会陰部付近の不快感、頻尿(夜間頻尿も)、がまんできない尿意(尿意切迫)、尿が出始めるまでに時間がかかる、尿に勢いがなく排尿時間が長いなど。進行すると、膀胱に尿が残っている残尿感も。さらに進行すると、尿がほとんど出ない(尿閉)、しかし尿がわずかずつ漏れる(尿失禁)。

前立腺の炎症の影響によって、排尿をコントロールする神経が異常を来たすことから頻繁に尿意を感じ、また、意志とは無関係に膀胱排尿筋が収縮しようとして切迫した尿意を感じます。一方、前立腺が肥大して排尿がスムーズに行えなくなっているため、実際に排尿しようとしても、尿が出るまでに時間がかかる上、出始めても勢いがなく、出し終わるまでに時間がかかります。

また、正常な場合には、排尿後の膀胱内には尿がほとんど残りませんが、前立腺肥大症が進行すると排尿が途中で止まるようになり、膀胱内に相当量の尿が残って残尿感を覚えます。さらに進行すると、尿がほとんど出なくなり、それでも溜まっている尿が膀胱の内圧によって滲み出てくる慢性的な失禁状態になります。その間、膀胱に尿がつねに滞留していることから膀胱結石を生じて血尿が出ることや、尿路感染症・腎不全などを引き起こす場合もあります。

前立腺肥大症は、日本人の高齢男性にとってごく一般的な病気です。ある研究グループの調査によれば、40代まではほとんど見られない病気ですが、50代から65歳までの男性で約15%、65歳以上の高齢者では約25%が発症していると推定される結果でした。また、発症の有無に関わらず、前立腺肥大の傾向は年齢とともに高くなり、60歳で全男性の60%、70歳では80%、80歳では90%に肥大傾向が見られると言われています。しかし、前立腺肥大症はかならず治療しなければならない病気ではありません。泌尿器科を受診して前立腺肥大症と診断されても、症状が軽く日常生活に支障がない程度であれば、投薬療法も行わず経過観察することが珍しくありません。

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(C) 2017 よくある高齢者の病気(症状別)