高齢者の褥瘡(じょくそう)の原因と対策
褥瘡とは、床ずれのことです。寝たきりの人や長期療養でベッドの上での生活が中心になっている人によく起こる皮膚疾患です。寝具との摩擦や寝具から受ける圧迫によって、皮膚に角質化や擦過傷(すり傷)が起こり、進行すると皮膚潰瘍(皮膚に穴が開くこと)となります。寝たきりの人は背中と臀部(尻)に発生しやすく、座った姿勢で生活できる人や自力で歩行できる人の場合は、臀部とかかとに発生します。
褥瘡を発生させる要因
褥瘡は、単純な皮膚表面(表皮)の角質化や擦過傷によって起こる症状ではありません。次のような肉体的な条件が重なって発生します。
† 加齢による皮膚の乾燥・血行不良・新陳代謝の低下
年齢とともに発汗量や皮脂の分泌量が減少し、表皮は乾燥して弾力を失い、外からの物理的な力によるダメージを受けやすくなります。また、血行不良と新陳代謝の低下によって、ダメージを受けた皮膚の回復が遅くなります。
† 栄養状態の悪化
寝たきりやベッドでの生活が長引く人は、疾患の種類や病状によっては、十分な栄養を摂れなくなります。栄養状態の悪化が、皮膚の受けたダメージの回復を困難にします。
† 体重低下による骨格の影響
栄養不足と病気の症状が体重の低下をもたらします。脂肪・筋肉の量が減少したことで、皮膚や皮下組織が骨格と寝具との間で圧迫を受けやすくなり、その部分の血行不良を促進します。
† 姿勢を自由に変えられないこと
植物人間状態の人だけでなく、入院・療養中の多くの人は、ベッドでの姿勢を自由に変えることができません。一日中、あるいは長時間にわたって同じ姿勢を保っていると、ベッドと接触している部分の血行が悪化します。
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