高齢者がむし歯・歯周病の予防のためにまず考えるべきことは、唾液の分泌量を増加させることです。そのための確実な方法としては、反射唾液(または刺激唾液)という現象を利用する方法があります。反射唾液とは、嗅覚・味覚などの刺激によって反射的に分泌される唾液のことです。例えば、レモンを口にすると、その酸味で唾液が口中に溢れてきます。また、レモンを見たり、その酸っぱさを想像したりするだけでも唾液が出てきます。しかも、反射唾液は、高齢者にあっても分泌量が多いと言われています。反射唾液は食事のときの食欲増進や食べた物の消化吸収の向上にも役立ちそうですが、食事以外のときにも意図的に分泌させることができれば、むし歯・歯周病の予防に役立つことでしょう。
そのほか、意識して唾液の分泌量を増やす方法としては、唾液腺を直接刺激できる顎の下をマッサージすることや、口の中で舌を動かしてみることも効果があると言われています。これらの方法を、歯磨きや歯肉マッサージと同様に実行して、むし歯と歯周病の予防に役立ててください。