■屋内で起こるヒートショック
冬の屋内でヒートショックが起こるのは、住まいの中に暖房の効いた暖かい部屋と、冷え切った状態の寒い場所があるためです。暖かいリビングやダイニングから冷え切ったトイレや洗面室・バスルームへ移動すると、その温度差は一般に10数℃、はなはだしい場合は20℃以上にもなります。着衣のままでいれば、その影響は少なくてすみますが、入浴のときは脱衣した時点で広範囲の血管が一気に収縮し、血圧が急上昇して、心筋梗塞や脳卒中を起こす危険性が高まります。また、そのようにして身体をいったん冷やしてからお湯につかったり熱いシャワーを浴びると、逆に血圧が急降下し、不整脈が発生したり失神したりする場合もあります。
■高齢者のヒートショックの実態
東京都健康長寿医療センターの調査レポート「わが国における入浴中心肺停止状態(CPA)発生の実態」(調査対象期間2011年1月〜12月、発表2014年3月)によると、2011年に全国で入浴中に心肺停止となり救急車で病院に搬送された高齢者(65歳以上)の数は、有効調査データの範囲内でも 9,360人となり、その大半が冬期(1月・2月・12月)に集中していました。また、このデータに含まれていない救急搬送されずに現場で死亡が確認された患者の推計数などを含めると、実際の心肺停止者数は約17,000人に達すると見られています。交通事故や夏の熱中症による死者よりも遥かに多数の高齢者が、ヒートショックによると思われる心筋梗塞や脳卒中で亡くなっています。